
こんにちは。利用者様・ご家族に喜ばれ信頼される訪問看護ステーションをつくる一般社団法人 SOYの安立あみです。
訪問看護ステーションの開業を検討されている方にとって、資金調達は最重要課題の一つです。
開業には一般的に500万~1,500万円程度の資金が必要となり、自己資金だけで賄うのが難しいケースも少なくありません。
今回のコラムでは、訪問看護ステーション開業時の資金調達方法から、運営開始直後のキャッシュフローを支えるファクタリングまで、詳細や注意点を詳しく解説いたします。
これから開業を目指される方の参考になれば幸いです。
目次
訪問看護ステーションの開業を支える資金調達方法
訪問看護ステーションの開業を支える資金調達には、主に「開業前に準備する融資や補助金」と、「開業直後の運営を安定させるファクタリング」の活用があります。
それぞれの特徴を理解し、自身の状況に適した方法を選択することが重要です。
詳しく見ていきましょう。
融資による資金調達
融資は、金融機関や公的機関からお金を借りて事業資金を確保する、最も一般的な資金調達方法です。
融資の大きなメリットは、比較的低金利で多額の資金を調達できる点にあります。
返済計画があらかじめ明確になるため、事業計画を立てやすいのも利点です。
一方で、審査のハードルが高く、結果が出るまでに1~2カ月ほどかかるなど、時間を要する点はデメリットといえます。
事業計画書をはじめとした各種書類の準備に加え、担保や保証人が必要になる場合もあり、手続きの負担が大きいことも注意が必要です。
訪問看護ステーション開業時に利用できる融資制度を以下にご紹介します。
日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金
創業者を支援する制度で、訪問看護ステーションの新規開業をお考えの方におすすめです。
融資限度額が7,200万円(うち運転資金4,800万円)と大きく、担保・保証人不要で利用できる特徴があります。
返済期間も、設備資金は20年以内、運転資金は10年以内と長めに設定されています。
独立行政法人福祉医療機構の融資制度
国と連携して福祉医療の基盤整備を行なっている厚生労働省所管の独立行政法人が運営する、指定訪問看護事業に係る設置・整備資金の融資制度です。
低金利での融資が可能ですが、原則として物件の担保提供が必要となっています。
地方自治体の制度融資
地域によって条件が異なりますが、地域密着型の事業には有利な制度となる場合があります。
補助金・助成金の活用
補助金・助成金は、国や地方自治体が政策目的に合った取り組みを支援するために提供する、原則として返済不要の資金です。
返済義務や利息負担がない点は大きなメリットですが、対象となる事業者や事業内容が細かく定められており、審査のハードルが高いケースもあります。
また、申請書や実績報告書など多くの書類を準備する必要があるほか、資金の使用用途が限定される点、後払いとなることが多い点にも注意が必要です。
補助金・助成金の詳細については、「訪問看護ステーションの立ち上げに利用できる助成金・補助金をご紹介!」で詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。
ファクタリングによる資金調達
ファクタリングは、実際に訪問サービスを提供した後に発生する介護報酬や診療報酬(売掛債権)を、サービス提供会社へ売却して早期に現金化するサービスです。
※サービス提供の実績(報酬請求権)が必要なため、完全な開業前には利用できませんが、運営開始直後の「入金待ち期間」の資金繰りに置いて心強い味方となります。
この方法の最大のメリットは、申し込みの手間が少なく、審査も比較的通りやすい点にあります。
「今すぐ現金が必要」という場面で、迅速に資金を確保することが可能です。
一方で、サービス提供会社に支払う手数料が発生する点には注意が必要です。
手数料率は会社によって異なりますが、おおむね1~3%が相場です。
また、調達できる資金額は、実際に請求可能な介護報酬額や診療報酬額の範囲内に限られるため、必要な金額を全て賄えない場合がある点にも注意しましょう。
融資とファクタリングを活用する方法については、のちほど詳しく解説していきます。
訪問看護ステーションの開業で融資を受ける場合の流れ

融資を受けるまでの流れを具体的に見ていきましょう。
適切な準備と手順を踏むことで、スムーズな資金調達が可能になります。
融資を受けるために明確にしておくべきこと
融資の審査を通過するためには、以下の3点を明確にしておくことが重要です。
融資を受ける目的を明確にする
何のために融資が必要なのかを具体的に説明できるようにしましょう。
訪問看護ステーション開業の場合、開業のための初期費用、事業所運営のための運転資金、車両を購入・入替するための資金などが主な目的となります。
融資・資金調達の金額を明確にする
いくら融資を受けたいのかを明確に説明できるようにしましょう。
総額でいくら必要なのか、そのうち自己資金をいくら用意したのか、目的が複数ある場合は、どの目的にいくら使うのかも明確にしておくと説得力が増します。
返済できることを明確にする
返済能力があると認められなければ、融資を受けることはできません。
決算書や収支計画書などを用いて、収入や利益を確保できる事業であることを証明する必要があります。
あわせて、人材への投資や設備投資など前向きな目的であることを説明できると評価につながります。
融資を受けるまでの具体的な流れ
融資を受ける流れをポイントとともに見ていきましょう。
①資金計画の策定
開業に向けて必要な資金の総額を算出し、自己資金と融資で調達する金額の内訳を明確にします。
開業資金だけでなく、軌道に乗るまでの運転資金も含めて計画を立てることが大切です。
②金融機関の選定
融資条件や金利、審査基準を比較検討して、最適な金融機関を選択します。
訪問看護ステーションの新規開業の場合は、創業融資に対応している機関を中心に検討しましょう。
③融資の申し込み手続き
金融機関に事前相談を行い、融資の可能性や必要書類を確認した上で、正式な申し込みを行います。
④必要書類の作成・提出
融資審査に必要な書類を準備し、提出します。
訪問看護ステーション開業時に一般的に求められる書類には以下のようなものがあります。
- 事業計画書
- 資金繰り表
- 収支計画書
- 登記簿謄本(法人の場合)
- 印鑑証明書
- 定款の写し(法人の場合)
- 代表者の履歴書
- 資金使途を証明する書類
- 自己資金の確認書類(通帳のコピーなど)
- 納税証明書(既存事業者の場合)
⑤審査および面談
提出した書類をもとに金融機関による審査が行われます。
必要に応じて融資担当者との面談が実施され、事業計画の詳細や返済計画について質疑応答が行われます。
⑥融資の承認と契約締結
審査に通過すると、融資条件(金額、金利、返済期間など)が確定し、正式な融資契約を結びます。
⑦資金の実行
契約完了後、指定した口座に融資金が振り込まれます。
同時に返済がスタートしますので、計画的な資金管理が重要です。
ファクタリングを活用する場合の流れ
実際に訪問看護サービスの提供が始まり、報酬の請求権(売掛債権)が発生した段階で利用可能となります。
具体的な流れを確認しましょう。
- 訪問看護のファクタリングを扱っているファクタリングサービスに相談・問い合わせをする
- 必要書類を提出し、審査を申し込む
- 審査に通過後、ファクタリングに必要な書類を送付する
まずは訪問看護・介護事業を取り扱っているファクタリング会社に相談し、サービス内容や手数料を確認し、ファクタリング利用に必要な書類を提出して審査を申し込みます。
審査に通過すると、債権譲渡契約を締結し、ファクタリングに必要な書類を送付します。
このように、ファクタリングを利用する手順は難しくなく、必要書類を提出するだけですぐに開始することができます。
ファクタリング利用時のポイントと注意点
ファクタリングサービスは、手数料のほか、審査から入金までのスピードや契約期間の有無などが会社ごとに異なるため、事前にしっかり確認しておきましょう。
なかには高額な手数料を設定している悪徳業者も存在します。
信頼性を見極め、自社に合ったファクタリング会社を選ぶことが重要です。
また、繰り返しになりますが、ファクタリングで調達できる金額は実際に提供したサービス分に限られます。
手数料を支払ってでも早期に資金を確保したい一時的な場合に限定し、全体の資金繰り踏まえた上での計画的な利用が大切です。
訪問看護ステーション開設については、下記コラムでもご紹介していますので、あわせてご覧ください。
訪問看護ステーション立ち上げを成功させる!基準・流れ・資金のポイント
訪問看護ステーション開業を支える資金調達方法を確認しよう
訪問看護ステーションの開業における資金調達方法には、融資、補助金・助成金、ファクタリングの3つがあります。
融資は金融機関や公的機関から資金を借りる方法で、低金利かつ多額の資金を確保でき、返済計画が明確な点がメリット。
一方で、審査に1~2カ月ほどかかり、事業計画書の作成や担保・保証人の準備など、手続きの負担が大きい点には注意が必要です。
補助金・助成金は原則返済不要で利息もかからず、資金負担を抑えられる反面、対象要件が厳しく、用途が限定されるほか、後払いとなるケースが多い点がデメリットです。
ファクタリングは開業後の報酬(売掛金)を早期に現金化でき、開業直後や急な支出への対応に有効ですが、手数料が発生し、調達額も報酬請求額の範囲内に限られます。
それぞれの特徴を理解し、開業準備から運営開始後までを見据えて、状況に応じて計画的に活用していきましょう。





