訪問看護を利用する

2024.07.30

訪問看護は医療保険と介護保険のどちらが優先?違いや優先順位を解説

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こんにちは。利用者様・ご家族に喜ばれ信頼される訪問看護ステーションをつくる一般社団法人 SOYの大山あみです。

 

かかりつけ医の指示を受けた看護師などが、病気や障がいを持った方のご自宅などに伺い、その人らしい療養生活を送れるように支援する訪問看護。

訪問看護では医療保険や介護保険を利用することができますが、どちらが優先されるのか疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

 

そこで今回は、訪問看護の医療保険と介護保険の優先順位をお話します。

民間の医療保険の利用についてもご紹介しますので、ぜひご覧ください。

医療サービスのイメージ

この記事を書いた人

一般社団法人SOY 訪問看護ステーション管理者大山 あみ

外科病棟を中心に約20年に渡り急性期医療に携わり、検査、処置、入院・手術を含む急変への対応を経験。
病院ばかりではなく在宅医療の重要性を実感するに至り、訪問看護に携わることを決意。
以来、訪問看護ステーションにおいて利用者とご家族のケア並びに従事する看護師の育成とサポートを行なっています。

訪問看護師として働きはじめて、最初に戸惑ったのが保険制度についてです。
病院勤務の時は医療事務の方がいたので、制度について馴染みもなく、深く理解する必要がなかったからです。

看護師の私もそうだったのですから、保険制度について困惑されている方もたくさんいらっしゃると思います。

ここでは、介護保険と医療保険について解説したいと思います。

訪問看護と訪問介護の違いとは?

自宅にいながら必要なケアを受けられるサービスとして、「訪問看護」と「訪問介護」があります。

どちらも利用者様の自宅で提供するという点で共通していますが、サービスの内容が異なります。

 

訪問看護は、看護師が利用者様の自宅を訪問して、病気や障がいに応じた看護を行います。

看護師は、医師の指示をもとに、カテーテル管理や点滴など病院と同じような医療処置や療養におけるケアを実施し、利用者様の健康状態を管理します。

 

一方、訪問介護は、ホームヘルパー(訪問介護員)が利用者様の自宅を訪問して、必要な介護を行います。

食事や入浴のサポートといった身体的な介護や、洗濯や掃除、買い物などの生活に必要なことのサポート、通院介助なども、訪問介護のサービスです。

 

 

訪問看護では介護保険と医療保険はどちらが優先される?

利用者様の手を取る看護師

保険には介護保険と医療保険がありますが、訪問看護の際はどちらを優先して利用することになるのでしょうか。

詳しく見ていきましょう。

 

介護保険・医療保険とは

そもそも、介護保険と医療保険とはどのような保険なのでしょうか。

 

介護保険とは

介護保険では、介護が必要になったり、日常生活に支援が必要になったりした際に、利用者様は一部の負担のみでサービス(介護給付)を受けることができます。

 

介護保険は年齢によって区分されており、65歳以上は「第1号被保険者」、40〜64歳の人は「第2号被保険者」となり、それぞれ次の場合に介護保険を利用できます。

 

<第1号被保険者>

  • 寝たきりや認知症など介護を必要とする状態
  • 日常生活に支援が必要な状態

 

<第2号被保険者>

  • 初老期の認知症
  • 脳血管疾患など老化が原因とされる病気(特定疾病)

 

このように、第1号被保険者も第2号被保険者も、要介護状態や要支援状態になった場合に介護保険を利用することができます。

 

医療保険とは

医療保険には「公的医療保険」と「民間の医療保険」の2種類があります。

 

公的医療保険とは、国民健康保険や会社員が加入する健康保険組合、75歳以上の人が加入する後期高齢者医療制度などのこと。

日本ではすべての国民が公的医療保険に加入する必要があり、医療保険を利用することで、1〜3割の自己負担で医療を受けることができます。

 

一方、民間の医療保険とは、民間の生命保険会社などで販売している保険商品のこと。

保険の保障内容に応じて、手術や入院などをした際に給付金を受給できるというものです。

民間の医療保険は任意なので、公的医療保険とは異なり、加入は必須ではありません。

 

訪問看護で優先されるのは介護保険?医療保険?

まず、介護保険と公的医療保険は、同時に利用することはできないため、訪問介護の際はどちらか一つを利用することになります。

訪問看護で介護保険と医療保険のどちらを適用するかは、下記の4点がポイントになります。

  • 年齢
  • 要介護・要支援認定
  • 特定疾病の有無
  • 厚生労働大臣が定める疾病・状態、特別指示の有無

 

65歳以上の方で要介護認定を受けている場合は、介護保険が優先されます。

ただし、末期の悪性腫瘍やパーキンソン病関連疾患といった厚生労働大臣が定める疾病・状態や、主治医が疾病の急性増悪などによって頻度高く訪問が必要だと判断して特別指示が交付されている場合は、医療保険の適用となります。

 

40〜64歳の方で、同じく厚生労働大臣が定める疾病・状態や特別指示に該当する場合は、医療保険が優先されます。

しかし、筋萎縮性側索硬化症や脳血管疾患など、特定疾病を罹患している場合は、要介護・要支援認定を受けていて、かつ厚生労働大臣が定める疾病・状態や特別指示に該当しない人は、介護保険が優先されます。

 

介護保険を利用して訪問看護のサービスを受けたい場合は、要介護認定を受けておく必要がありますので、事前に申請しておきましょう。

なお、医療保険を利用する場合は、主治医からの指示書が必要になります。

 

 

訪問看護はどのくらい利用できる?民間保険は使える?

健康保険証

公的医療保険を利用する場合、訪問看護のサービスはどのくらい利用できるのでしょうか。

 

公的医療保険を利用して訪問看護のサービスを受ける場合は、原則として1日1回、週3回の利用が可能で、1回の訪問時間は30〜90分が標準となっています。

ただし、厚生労働大臣が定める疾病・状態の人や、特別指示が出ている期間に利用する場合の訪問回数などは、原則どおりではありません。

 

なお、先ほどもご紹介したように、医療保険には公的医療保険のほかに民間の医療保険もあります。

民間の医療保険は商品や特約の有無などによって保障内容が異なりますが、訪問看護のサービスは民間の医療保険の通院保障の対象外となることが多く、利用できないケースがほとんどです。

 

もし、自費で訪問看護のサービスを利用する場合は、訪問看護サービスが対象となる、民間の保険会社の介護保険を活用するという方法もあります。

 

 

訪問看護はケースによって医療保険と介護保険の優先順位が異なる

訪問看護は、看護師が利用者様の自宅を訪問して、病気や障がいに応じた看護を行うというもの。

一方、訪問介護は、ホールヘルパー(訪問介護員)が利用者様の自宅を訪問して、必要な介護を行います。

 

介護保険は、介護が必要になったり、日常生活に支援が必要になったりした際に、利用者様は一部の負担のみでサービス(介護給付)を受けることができます。

医療保険の中でも公的医療保険とは、国民健康保険や会社員が加入する健康保険組合、などを指し、日本ではすべての国民が公的医療保険に加入する必要があります。

 

訪問看護で介護保険と医療保険のどちらを適用するかは、「年齢」「要介護・要支援認定」「特定疾病の有無」「厚生労働大臣が定める疾病・状態、特別指示の有無」によって変わります。

 

公的医療保険を利用して訪問看護のサービスを受ける場合は、原則として1日1回、週3回の利用が可能で、1回の訪問時間は30〜90分が標準。

民間の医療保険の保障では、訪問看護サービスは該当しない場合がほとんどです。

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