訪問看護で働く

2024.12.21

訪問看護の特別指示書とは?交付の条件やメリット、注意点を確認!

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こんにちは。利用者様・ご家族に喜ばれ信頼される訪問看護ステーションをつくる一般社団法人 SOYの大山あみです。

 

訪問看護サービスを提供する際に必要となる「訪問看護指示書」。

訪問看護指示書にはいくつか種類があり、その一つに「特別指示書(特別訪問看護指示書)」があります。

 

今回は、特別指示書についてお話しします。

通常の指示書との違いのほか、特別指示書が交付される条件や利用者様にとってのメリットなどもご紹介しますので、ぜひご覧ください。

この記事を書いた人

一般社団法人SOY 訪問看護ステーション管理者大山 あみ

外科病棟を中心に約20年に渡り急性期医療に携わり、検査、処置、入院・手術を含む急変への対応を経験。
病院ばかりではなく在宅医療の重要性を実感するに至り、訪問看護に携わることを決意。
以来、訪問看護ステーションにおいて利用者とご家族のケア並びに従事する看護師の育成とサポートを行なっています。

訪問看護の現場では、特別指示書により、利用者様に通常の訪問看護よりも密なサポートを提供することがあります。

特別指示書が交付されると、頻回な訪問や長時間のケアが可能になり、利用者様の状態に応じた迅速な対応ができます。

利用者様やそのご家族の負担軽減と安心感をサポートするためにも、このコラムを通して、特別指示書についての理解を深めてほしいなと思います。

訪問看護の「特別指示書」とは?

訪問看護指示書とは、訪問看護サービスを提供する際に必要となる書類のこと。

利用者様に訪問看護が必要だと主治医が判断した場合に、訪問看護ステーションに対して交付されます。

 

特別指示書(特別訪問看護指示書)は、通常の訪問看護指示書よりも高度な医療的介入が必要な場合や、特別な配慮が必要な利用者様に対して作成される指示書です。

急激な病状悪化や終末期、退院時など、一時的に頻繁な訪問看護の必要がある場合に交付されます。

 

訪問看護指示書と特別指示書は、指示できる内容などが異なります。

 

<訪問看護指示書>

  • 訪問看護の提供は1日1回、30分以上90分未満
  • 最大週3回の実施
  • 1カ所の訪問看護ステーションから、1人の看護師が対応
  • 1回の指示書で指示できる期間は最大6カ月

 

<特別指示書(特別訪問看護指示書)>

  • 1日に複数回(3回まで)の訪問看護の提供
  • 週4日以上の訪問看護の実施
  • 90分を超える訪問が週1回可能
  • 複数の指定訪問看護ステーションから、複数名の看護師による対応
  • 1回の指示書で指示できる期間は最大14日
  • 月1回のみ発行、重度褥瘡(じょくそう)の場合は月2回発行可能

 

なお、特別指示書で訪問看護サービスを受ける場合は、医療保険が適用となります。

 

料金は週3日目までは訪問看護基本療養費が1日5,550円ですが、週4日目以降は1日6,550円と高くなります。

※2024年6月改定分

 

そのため、頻繁な訪問が多い特別指示書による訪問看護サービスは、料金が高くなる傾向があります。

 

訪問看護指示書については下記コラムで詳しくご紹介していますので、あわせてご覧ください。

訪問看護指示書とは?種類やチェックするべきポイントも

 

 

訪問看護で特別指示書が交付される条件

看護師

特別指示書(特別訪問看護指示書)が交付されるのは、利用者様の状態が一般的な訪問看護で対応する範囲を超えて、特別な医療行為や看護が必要とされる場合です。

 

なお、特に疾患や症状の制限はなく、主治医が利用者様が下記のような場合にあり、「週4日以上の訪問看護の必要がある」と判断した際に交付されます。

 

急性増悪の場合

急性の感染症や病気が悪化し利用者様の状態が急激に変化した場合、訪問看護を通じて医療的な管理が必要となります。

重症化を防ぐために頻回の対応が必要となるため、特別指示書が交付されます。

 

終末期の場合

心不全、脳血管疾患、難治性疾患などによる終末期の利用者様にも、緩和ケアや疼痛管理、心理的サポートなど、専門的なケアが必要となるため、特別指示書が交付されます。

 

なお、悪性腫瘍(ガン)による終末期の場合は、特別指示書がなくても高頻度の訪問が可能です。

 

退院直後で週4日以上の頻回な訪問看護の必要な場合

退院直後の利用者様は、自宅での生活に適応できていない場合のサポートや薬物管理などが必要で、週4日以上の頻回な訪問看護が求められることがあります。

退院後で利用者様の状態が安定するまでに高頻度での看護支援が必要な場合も、特別指示書が交付されます。

 

このほかにも、褥瘡が真皮を越えて深刻な状態に進行している場合や、気管カニューレを必要とする状態(人工呼吸器を使用している方)の場合なども、特別指示書が交付されます。

 

 

訪問看護で特別指示書が交付される利用者様へのメリット

訪問看護で特別指示書(特別訪問看護指示書)が交付されることで、利用者様とそのご家族は多くのメリットを得ることができます。

詳しく見ていきましょう。

 

退院直後も集中的にサポートしてもらえる

退院直後は利用者様の状態が安定していない場合が多く、家庭でのケアが非常に重要です。

特別指示書が交付されると、集中的なサポートが可能になるため、在宅移行時に必要なケアを確実に受けることができます。

 

1日に複数回訪問してもらえる

通常、訪問看護は1日1回の訪問が一般的ですが、特別指示書が交付されると、1日に複数回の訪問が可能になります。

1日に何度も状態をこまめに確認できるため、必要な治療や処置をタイムリーに実施でき、状態が不安定な場合も安心です。

 

2カ所以上の訪問看護ステーションからの訪問してもらえる

特別指示書が交付されることで、複数の訪問看護ステーションから訪問看護を受けることも可能になります。

複数の訪問看護ステーションからの訪問を受けることで、より柔軟で密なサポートが受けられるほか、緊急時なども安心です。

 

長時間の訪問看護が受けられる

通常の訪問看護は比較的短時間(30分〜90分未満)で行われることが多いですが、特別指示書が交付されると、長時間の訪問看護が許可される場合もあります。

 

これにより、複雑な医療行為や精神的なサポートが必要など利用者様のケアに長い時間を要する場合にも、適切なケアを受けることができます。

 

ご家族の負担が軽減する

頻回で専門的な看護が提供されるため、ご家族がケアにかける時間や労力を大幅に軽減することができます。

特に、複雑な処置や医療行為が必要な場合は、訪問看護師が行うことで、ご家族の負担が軽くなり、精神的にも安定するでしょう。

 

医師との連携が強化される

特別指示書が交付されることで、患者の状態に応じた最適なケアを頻回に行うことができます。

頻回な訪問により、症状が悪化した際にも迅速な対応を取りやすく、治療がよりスムーズに行われます。

 

 

訪問看護の特別指示書で注意すべきポイント

訪問看護の特別指示書(特別訪問看護指示書)の交付時には、いくつかの注意すべきポイントがあります。

 

まず、特別指示書は通常の訪問看護指示書と同一の医師から交付される必要があります。

 

また、特別訪問看護指示書の指示期間は最大で14日間ですが、点滴指示がある場合の指示期間は最大で7日間と制限されているため注意してください。

 

なお、退院直後は訪問看護指示書の期限切れにも注意が必要です。

訪問看護指示書の期限が切れていると、特別指示書が交付されないため、しっかり確認しましょう。

 

 

訪問看護の特別指示書は特別な配慮が必要な利用者様に交付される書類

訪問看護指示書は、利用者に訪問看護が必要と判断された際、主治医が訪問看護ステーションに交付する書類です。

 

通常の訪問看護指示書は、1日1回、最大週3回の訪問を指示でき、期間は最大6ヶ月です。

一方、特別指示書(特別訪問看護指示書)は高度な医療介入が必要な場合や、急激な病状悪化、終末期、退院直後などに交付され、複数回の訪問や長時間の対応が可能となります。

 

特別指示書の指示期間は最大14日間、月1回発行され、医療保険が適用されますが、訪問回数が増えることで料金も高くなります。

特別指示書を受けると、利用者は退院直後の集中的なサポートや、1日複数回の訪問を受けることができ、ご家族の負担も軽減します。

 

ただし、特別指示書の発行には、同一の医師からの交付が必要で、通常の訪問看護指示書の期限切れにも注意しましょう。

 

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