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2024.12.17

在宅看取りの流れとは?必要な準備や心構えについて知ろう

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在宅看取り

こんにちは。利用者様・ご家族に喜ばれ信頼される訪問看護ステーションをつくる一般社団法人 SOYの大山あみです。

 

ターミナルケア(終末期看護)は病院やホスピスで行われるケースが多いですが、「在宅」という選択肢もあります。

 

近年は、人生の最後を迎える場として自宅を望む人が増えています。

しかし、実際に在宅での看取りを行うためには、さまざまな準備や体制づくり、心構えが必要です。

 

今回のコラムでは、在宅看取りの概要から具体的な流れ、必要な準備、そしてご家族の心構えまでを詳しく解説します。

ご本人とご家族にとって、より良い看取りを実現するためにも、ぜひ知っておいてほしい情報です。

この記事を書いた人

一般社団法人SOY 訪問看護ステーション管理者大山 あみ

外科病棟を中心に約20年に渡り急性期医療に携わり、検査、処置、入院・手術を含む急変への対応を経験。
病院ばかりではなく在宅医療の重要性を実感するに至り、訪問看護に携わることを決意。
以来、訪問看護ステーションにおいて利用者とご家族のケア並びに従事する看護師の育成とサポートを行なっています。

訪問看護師として、私も在宅看取りに立ち会う機会があります。

在宅看取りを決めたご家族からは「最期はどのような様子になるのか」や「どんな準備をしておけば安心か」といったご質問をいただくこともあります。
このような不安に対して、適切な準備と専門家との連携が非常に重要であると実感しています。

このコラムを通じて、在宅看取りの不安を少しでも軽減し、ご本人・ご家族にとって最期の時間が穏やかであるようサポートできれば幸いです。

在宅看取りとは

在宅看取りとは、人生の最期が近づいた方に対して、自宅で介護し、親しいご家族やご親族とともに最期を見届けることです。

積極的な治療や延命措置を行わず、痛みや不快感を取り除きながら自然な形で最期を迎えられるようサポートします。

在宅・病院・ホスピスなど場所を問わず、このサポートのことを「ターミナルケア(終末期看護)」と言います。

 

かつては多くの人が自宅で最期を迎えていましたが、医療の進歩や核家族化に伴い、現代では病院で亡くなる方が大半に。

しかし、「最期は住み慣れた自宅で迎えたい」と望む方がいるのも事実です。

 

厚生労働省が示した「人生の最終段階における医療・ケアに関する意識調査報告書」によると、「最期を迎えたい場所」という設問に対し、病気で亡くなる場合は自宅が良いと答えた人は43.8%とおよそ半数となっています。

 

在宅看取りは、ご本人の希望を叶え、尊厳を守り、その人らしい最期を実現するものです。

住み慣れた環境でご家族とともに過ごし、穏やかな最期を迎えられるのは、ご本人にとってもご家族にとっても大切な時間となり、大きな慰めとなるでしょう。

 

 

在宅看取りの流れ

在宅看取りを行うにあたっては、段階的な準備と関係者の連携が重要です。

在宅看取りの流れについて説明します。

 

①ご本人とご家族で意思と方向性を確認する

在宅看取りを始める際にまず重要なのは、要介護者ご本人の意思を確認することです。

在宅での看取りを希望するかどうか、どのような最期を迎えたいかについて、ご家族全員が理解し、同意できるまでしっかり話し合います。

 

②地域包括支援センターに相談する

続いて、各自治体が設置している地域包括支援センターへ在宅看取りについて相談しましょう。

地域包括支援センターでは、各家庭の状況に応じて介護保険制度の活用方法や適切なサービスについて、具体的な提案を受けることができます。

 

③ケアマネジャーやかかりつけ医師・訪問看護師に相談する

在宅看取りに対応できるケアマネジャー、医師、訪問看護師を探し、看取りチームを編成します。

ご本人やご家族と専門家が連携し、適切なケアプランを作成していきます。

 

ケアマネジャーの探し方や具体的な役割はこちらのコラムでも解説しています。

ケアマネジャーに相談できることは?ケアマネジャーの探し方や選び方も

 

④介護用品を準備する

ご本人の状態に応じて、必要な介護用品の準備や自宅の介護リフォームを行います。

介護リフォームや介護用品のレンタルなどは、介護保険を利用して自己負担を抑えられる可能性があります。

 

必要な介護設備や介護用品には、介護ベッドや車いす、ポータブルトイレ、入浴用チェア、手すり、歩行補助杖などがあり、ご本人の状態に応じて必要な設備・道具は異なります。

 

⑤チームで連携して在宅介護を行う

ケアプランに従って、ご家族や医療者などで連携を取りながら在宅介護を行います。

ご家族が寄り添いながら日常生活のサポートを行いつつ、医療処置や看護・介護ケアは、訪問看護や訪問介護も活用しましょう。

 

専門家のサポートを活用することで、ご家族も安心して在宅介護が行えます。

 

⑥自宅で最期を迎える

亡くなるときが近づくと、ご本人はだんだんと起きている時間が少なくなり、声をかけても反応が薄くなっていきます。

最期のときが来た際には、声をかけながら寄り添い、慌てずにかかりつけ医に連絡をしてください。

 

また、「気が付いたら呼吸が止まっていた」というケースも、在宅看取りでは珍しくありませんので、落ち着いて対応しましょう。

 

⑦看取り後の対応

看取り後は、医師による死亡確認と死亡診断書の交付が行われます。

ご家族との最後のお別れのあとは、訪問看護師または葬儀会社によってエンゼルケアが施され、葬儀の準備に移ります。

 

可能であれば、葬儀やお墓の希望についても、生前にご本人と話し合っておけると良いでしょう。

 

 

在宅看取りをするために必要な準備

在宅看取り

在宅看取りに向けて具体的に準備すべき項目を確認しましょう。

 

必要な介護設備と介護用品の準備

自宅での介護と看取りをスムーズに行うために必要な設備と介護用品について、介護度別にご紹介します。

 

要介護度1–2

この段階では、自立している部分も多いため、転倒防止のための手すりや滑り止めマット、歩行補助器を用意しましょう。

安全性を高める設備が中心となります。

 

要介護度3

日常生活に支援が必要な状態です。

介護用ベッドやポータブルトイレ、車いすなど、移動や生活に必要な設備を整えると良いでしょう。

 

要介護度4–5

生活のほとんどに介助が必要となり、より高度な設備や医療機器が必要となります。

高機能エアマットレスや吸引器、酸素吸入器、経管栄養用具(胃ろうなど)といった医療機器も必要になることがあります。

 

医療機関や訪問看護サービスとの密接な連携が不可欠です。

 

医療機関や在宅看護、在宅介護サービスとの連携体制

医師や訪問看護師との連携が、在宅での最期を安心して迎えるための支えとなります。

訪問診療や訪問看護を活用し、ご家族の介護負担を軽減しましょう。

 

また、ご家族の精神的負担を軽減するためのサービスなども活用を。

ご家族が心身をリフレッシュできる時間を作ることは大切です。

 

経済的なサポート制度の確認

訪問看護や訪問介護の利用、介護用品や医療機器の費用は介護保険や医療保険を活用して自己負担を軽減できる場合があります。

地域包括支援センターで申請手続きについて相談しましょう。

 

 

在宅看取りをすると決めたらこんな心構えを

在宅看取りを円滑に進めるためには、ご家族の心構えも重要です。

適切な準備と心構えによって、ご本人とご家族にとってより良い看取りが実現できます。

 

亡くなる際の状態の変化を知っておく

最期が近づくと、声かけへの反応の低下、脈拍の弱まり、顔色の変化、死前喘鳴(しぜんぜんめい)など、さまざまな身体的変化が現れます。

これらの変化を事前に知っておくことで、急変時もパニックにならずに冷静な対応が可能となります。

 

ご家族の心のケアは必要不可欠

在宅看取りは24時間体制の介護となる場合もあり、ご家族への負担も大きなものです。

お互いに良い関係で在宅介護・看取りを行うためにも、十分な睡眠と休養を取り、ときには趣味を楽しむことも必要です。

 

介護中に生じるイライラや不安などは自然な感情であり、罪悪感を覚える必要はありません。

つらいと感じた際は一人で抱え込まずに、ケアマネジャーや訪問看護師に相談しましょう。

 

介護がつらいと感じた場合に活用してほしい制度や対処法などをこちらのコラムでもご紹介しています。

ぜひあわせてご覧ください。

親の介護がつらい。活用できる制度や対処法を知ろう

 

 

在宅看取りの準備と流れを知って、後悔のない時間に

在宅看取りは、「住み慣れた自宅で最期のときを迎えたい」というご本人の希望を叶え、その人らしい人生を送るための選択肢の一つです。

 

在宅看取りをスムーズに進めるには、ご家族の理解と協力、そして医療・介護の専門家との適切な連携が重要です。

事前の準備と心構えを整え、必要な支援やサービスを活用しながら進めることで、ご本人もご家族も後悔のない看取りを実現することができます。

 

在宅介護、在宅看取りは、ご家族で一緒に最後の時間を過ごせる反面、介護者の負担も少なくはありません。

ご家族だけで抱え込まず、専門家への相談やさまざまな支援を活用してくださいね。

 

大切な人との最期の時間を穏やかに過ごせることを願っています。

 

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