訪問看護を利用する

2025.03.25

精神科訪問看護の利用条件は?利用までの流れや利用可能な別制度も

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訪問看護

こんにちは。利用者様・ご家族に喜ばれ信頼される訪問看護ステーションをつくる一般社団法人 SOYの大山あみです。

 

「精神科でも訪問看護が利用できるのかな」「利用条件が厳しそう」と、不安を感じている方は多いのではないでしょうか。

 

そこで今回のコラムでは、精神科訪問看護の利用を検討されている方に向けて、利用条件や申請の流れについて解説します。

精神疾患を持つ方が利用できるそのほかの制度などもあわせてご紹介しますので、ぜひご覧ください。

この記事を書いた人

一般社団法人SOY 訪問看護ステーション管理者大山 あみ

外科病棟を中心に約20年に渡り急性期医療に携わり、検査、処置、入院・手術を含む急変への対応を経験。
病院ばかりではなく在宅医療の重要性を実感するに至り、訪問看護に携わることを決意。
以来、訪問看護ステーションにおいて利用者とご家族のケア並びに従事する看護師の育成とサポートを行なっています。

精神科訪問看護は、精神的な支援が必要な方々にとってとても重要なサービスです。

私自身、精神科訪問看護を通じて、利用者様が安心して日常生活を送れるようサポートしてきました。
特に、症状が安定しづらい方や家族のサポートだけでは十分でない方にとって、専門的なケアは大きな助けになります。

安定した生活を取り戻すためにも、まずは主治医と相談し、精神科訪問看護の利用を検討してみてください。

精神科訪問看護とは?

訪問看護とは、看護師などの医療スタッフが利用者様の自宅などに訪問して、看護サービスを提供するもの。

 

精神科訪問看護は、その中の種類の一つで、精神疾患を抱えている人が対象となる訪問看護サービスです。

精神科医療に関する専門的なケアや支援を含め、利用者様の症状や困りごとに合わせた看護サービスやケア、生活支援などを提供します。

住み慣れた環境で専門家によるケアを受け、不安を解消し安心して生活をしていくことができます。

 

訪問看護についてはこちらのコラムでも詳しくご紹介しています。

ぜひあわせてご覧ください。

訪問看護とは?対象者やサービス内容、使える保険などについて解説

 

精神科訪問看護で受けられるサービス

精神科訪問看護で受けられる主なサービスは以下のようなものです。

 

日常生活の支援

日常生活が円滑に送れるよう、次のような介助や支援を行います。

  • 生活リズムの管理と支援
  • 食事や栄養管理のアドバイス
  • 服薬管理のサポート
  • 入浴や歩行の介助
  • 室内の片付けなど生活環境整備の支援 など

 

心身の健康管理

症状や体調が悪化していないか状態を把握し、必要に応じて看護ケアを提供します。

  • バイタルサインの測定
  • 精神症状の観察とケア
  • 服薬指導と管理
  • 体調不良時の対応
  • 主治医との連携 など

 

ご家族のサポート

ご家族の支援も大切な役割の一つです。

  • ご家族の相談対応
  • 介護負担の軽減
  • 利用可能なサービスの紹介
  • 家族会などの情報提供 など

 

 

精神科訪問看護の利用条件は?

精神科訪問看護を利用できる方は、精神科や心療内科に通院されている方で、主治医の指示書がある方です。

 

対象となる疾患は、うつ病、統合失調症、双極性障害、不安障害、PTSD、摂食障害、依存症など、幅広く設定されています。

「仕事をしているから利用できない」「年齢制限があるのでは」と考える方もいらっしゃいますが、そのような制限はありません。

 

また、はっきりとした病名がついていない場合でも、医師が「精神科訪問看護が必要」と判断し、精神科訪問看護指示書を発行した場合は利用可能です。

 

抑うつ状態や睡眠障害などでお困りの方は対象となる可能性があるので、主治医に相談してみましょう。

 

 

精神科訪問看護を利用する流れ

精神科訪問看護を利用する流れには、大きく分けて4つのステップがあります。

 

①主治医への相談・指示書の発行

まずは主治医に訪問看護の利用について相談し、「精神科訪問看護指示書」を発行してもらいます。

主治医から「必要ないのでは」と言われる場合は、必要に応じて訪問看護ステーションから必要性を主治医へ説明することもあります。

 

②訪問看護ステーションの選択

精神科訪問看護を依頼する訪問看護ステーションを選びます。

 

選び方のポイントは「訪問看護の事業所の選び方とは?注意点や利用の流れも」で詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。

 

③訪問看護ステーションとの面談

精神科訪問看護指示書を確認した上で利用者様の状態や希望、ご家族の要望などをもとに、具体的なケア内容や訪問の頻度を決めていきます。

 

④利用開始

準備が整ったら、看護計画にもとづいて精神科訪問看護サービスが開始されます。

コミュニケーションをとって信頼関係を構築しながら進めていきます。

 

 

訪問看護以外に精神疾患を持つ方が利用できる制度

利用者様の生活の安定や社会復帰を目指して、利用できるそのほかの制度をご紹介します。

 

精神障害者保健福祉手帳制度

精神疾患(機能障害)で日常生活や社会生活が困難であると認定された人の、自立した生活や社会参加を助けるための制度です。

認定されて手帳が交付されると、医療費の助成や公共料金の割引、減税などを受けられます。

 

自立支援医療(精神通院医療)制度

対象疾患を持つ利用者様に対し、医療機関、薬局、訪問看護などの医療費の軽減を受けられます。

 

短期レスパイト入院制度

ご家族の精神的・身体的な負担を軽減するため、利用者様が一時的な入院ができる制度です。

 

 

先にご紹介した精神科訪問看護や、短期レスパイト入院制度の費用には、医療保険が適用となります。

そのため、年齢やご本人・ご家族の収入などの条件により、自己負担額はさまざまです。

また、障害者認定をされているか、自立支援医療(精神通院医療)制度の利用するかなどによっても負担額が変わります。

 

まずは、通院している医療機関やお住まいの市区町村の福祉課などに相談してみましょう。

 

 

精神科訪問看護の利用条件は厳しくない! 利用して生活の安定を

精神科訪問看護は、精神疾患を抱える方が住み慣れた環境で専門的なケアを受けられるサービスです。

精神科・心療内科に通院されている方であれば、年齢や就労の有無に関係なく利用可能です。

医師の指示書が必要となりますので、利用を希望する場合はまず主治医に相談を。

 

精神科訪問看護では、日常生活の支援や健康管理、看護ケアのほか、家族に対するサポートなども受けられます。

医療保険を利用することで、自己負担は1~3割です。

 

そのほかにも精神疾患を持つ方を支援するための、医療費の負担を抑える精神障害者保健福祉手帳や自立支援医療制度、ご家族の精神的・身体的な負担を軽減するための短期レスパイト入院制度などもあります。

 

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