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2025.01.28

介護離職は後悔する?仕事と介護の両立に活用できる制度やサービスも

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車いすの男性

こんにちは。利用者様・ご家族に喜ばれ信頼される訪問看護ステーションをつくる一般社団法人 SOYの大山あみです。

 

介護と仕事の両立は大変で、介護に専念するために仕事を辞めざるを得ない方もいるでしょう。

しかし、介護離職をした方の中には、後悔をしている方も少なくありません。

 

今回は、介護離職の現状やそのデメリット、そして仕事と介護を両立するための方法などについてお話しします。

介護に直面している方、これから介護を考えている方などはぜひご覧ください。

この記事を書いた人

一般社団法人SOY 訪問看護ステーション管理者大山 あみ

外科病棟を中心に約20年に渡り急性期医療に携わり、検査、処置、入院・手術を含む急変への対応を経験。
病院ばかりではなく在宅医療の重要性を実感するに至り、訪問看護に携わることを決意。
以来、訪問看護ステーションにおいて利用者とご家族のケア並びに従事する看護師の育成とサポートを行なっています。

訪問看護の現場で、介護離職される方を多く見てきました。
介護離職には、介護に集中できるというメリットもある一方で、「離職後に収入や社会とのつながりを失い、後悔している」と話される方もいらっしゃいます。

仕事と介護を両立する場合は、介護サービスの活用が欠かせません。
活用できる地域の支援制度も紹介しますので、このコラムが介護離職を考えている方のヒントになればと思います。

介護離職の現状

介護離職とは、家族の介護のために仕事を辞めることです。

いつまで続くかわからない介護は負担の大きなもので、仕事との両立はさらに大変なこと。

 

「介護と仕事の両立が難しい」「介護に専念する」また、「自分自身が体調を崩して両立ができない」などの理由で仕事を辞めるケースがあります。

 

総務省の「令和4年就業構造基本調査」によると、介護者629万人のうち、仕事をしている人は365万人。

年齢的には働き盛りの50代以上がその多くを占め、介護と仕事の両立に苦慮している人も多いのです。

 

前職の離職理由が「介護・看護のため」という人は、2022年は47.4万人に上ります。

また、介護・看護のために過去1年間に前職を離職した人の総数は、2017年が9.9万人、2022年が10.6万人で、5年間で0.7万人増えています。

 

過去15年間で見ると、「介護・看護のため」に過去1年間に離職した人は、2007年から2017年にかけては減少を続けていましたが、2017年から2022年にかけては増加に転じています。

 

高齢化が進む日本では、介護離職は重要な社会問題となっています。

 

 

介護離職をすると後悔する?メリット・デメリット

介護離職をして後悔している方は少なくありません。

介護離職には以下のようなデメリットが考えられます。

 

【デメリット1】安定収入がなくなる

介護自体にお金がかかることに加え、自分の生活費もかかります。

また、一般的に50歳代は子ども教育費などが一段落し、老後資金の準備をするであろう時期です。

 

しかし、仕事を辞めてしまうと安定収入がなくなり、経済的に余裕がなくなってしまいます。

 

50歳代で離職をすると、その後に良い条件での再就職が難しいという側面もあります。

 

【デメリット2】負担が増える

実は仕事を辞めても介護の負担は減らず、むしろ介護離職後の方が負担が増えるという調査結果もあります。

仕事を辞めて介護に専念したことでかえって見守りの時間が増えてしまう、家族で分担していた負担が自分に集中してしまうということが起こり得ます。

 

また、自宅で介護に専念することで社会との関わりが薄れ、孤立感や精神的ストレスが高まってしまうこともあるのです。

 

【メリット1】介護にあてる時間が増える

一方で、介護のために仕事を辞めると、介護にあてられる時間が増えます。

「親を最後まで家で介護したい」といった希望がある場合は叶えやすくなるでしょう。

 

ただし、十分な資産や給料以外の収入源がある、再就職の見通しがあるといった条件のもとで検討すべきです。

 

また、介護サービスなどを積極的に利用して、疲労やストレスをためないことが重要です。

 

 

介護離職で後悔しない!介護と仕事を両立するための制度・サービス

薬を飲む女性

仕事と介護を両立するための対策として、国や行政で提供している介護制度や介護サービスなどの活用をぜひ検討しましょう!

介護離職で後悔する前に、以下のような制度をぜひ活用してくださいね。

 

介護休暇・介護休業制度の利用

会社員に対しては、介護休暇・介護休業制度が以下のように法律で定められています。

 

【介護休暇】

  • 対象家族1人につき年間最大5日の休暇
  • 対象家族が2名以上の場合は年10日の休暇
  • 有給か無給かは会社の制度による

 

【介護休業】

  • 対象家族1人につき3回まで、通算93日までの休業
  • 一定の要件を満たす方には、休業期間中に賃金の67%相当の給付金が支給

 

また、所定外労働(残業)の免除や制限の制度もあります。

 

介護サービスの活用

訪問介護サービス、デイサービス、ショートステイなど、さまざまな介護サービスがあります。

家族だけで対応しようとせず、周りのサービスの活用も検討しましょう。

 

介護保険サービスなら、要介護・要支援認定を受けた要介護者が1〜3割の自己負担で利用可能です。

 

介護保険の適用がない、民間企業で提供しているサービスもあります。

 

訪問看護の活用

訪問看護は、医師の指示のもと利用者様の自宅などへ看護師が訪問し、看護や生活サポートを行うものです。

要支援・要介護認定を受けている場合は介護保険適用、それ以外の場合は公的医療保険の適用で利用可能です。

 

訪問看護については、こちらでも詳しくご紹介しておりますので、あわせてご覧ください。

訪問看護を受けるには?相談先や手続き方法を解説

 

地域包括支援センターの活用

地域包括支援センターは、介護に関する相談ができる総合相談窓口です。

上記で紹介したようなサービスを紹介してくれたり、利用・申請のサポートをしてくれたりします。

「何から取り組んでいいのかわからない」「どんなサービスがあるの?」といったことから相談できます。

 

地域包括支援センターについては、「地域包括支援センターについてわかりやすく!相談内容や利用の流れも」もあわせてご確認ください。

 

親の介護で悩んでいる方も多いでしょう。

こちらのコラムでも、介護の負担を軽減できる制度やサービスをご紹介していますので、あわせてぜひご覧ください。

親の介護がつらい。活用できる制度や対処法を知ろう

 

 

介護離職で後悔しないよう介護サービスを最大限活用しよう

介護離職とは、家族の介護をするために仕事を辞めることを指します。

日本では高齢化の影響もあり、近年その数が増加傾向にあります。

 

介護離職は介護に専念する時間を捻出できる一方、収入の減少や精神的ストレス、社会的孤立といったデメリットも大きく、介護離職で後悔している人も少なくありません。

 

介護離職で後悔せずに仕事と介護を両立するためには、介護休業制度や訪問介護、デイサービスといった支援制度を積極的に活用しましょう。

訪問看護サービスを利用したり、地域包括支援センターへ相談したりするのもおすすめです。
自分や家族だけで介護しようとせず、周りの制度やサービスを活用しながら無理せず介護に取り組みましょう。

 

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